今回は膝(しつ)関節の骨壊死(えし)についてお話しします。文字通り、骨に血が通わなくなるもので、大腿(だいたい)骨の内側の関節面に起こることが多く、中高年の女性に多いとされています。発症後1~2カ月はエックス線写真では変化がないため、変形性膝関節症と診断されることもありますが、より痛みが強いのが特徴です。また変形性関節症ではいつから痛くなったのか把握していないことが多いのに比べ、骨壊死の場合は時期をはっきり覚えている方が多いという特徴もあります。
磁気共鳴画像装置(MRI)では、この初期でも変化が描出されますが、エックス線写真で分かる頃には病期はかなり進行しています。壊死の原因は明確ではありませんが、何らかの理由で血行が阻害される場合と、骨の強度が低下している所に微細な骨折が生じて起きることもあります。治療は、消炎鎮痛剤の内服や、関節内注射、また体重を壊死以外の所で受けるための足底板、骨粗しょう症の薬の使用などがあります。膝の痛みが強い場合は一度整形外科で相談してみましょう。