今回は肩の激痛として発症することが多い「石灰沈着性腱板(けんばん)炎」についてお話しします。この場合、患者さんは「昨晩痛くて一睡もしていません」と言って来院される方が多いです。なぜ石灰がたまるのかははっきりしていませんが、腱板内の微少出血が原因で石灰(リン酸カルシウム結晶)がたまるとの説があり、その石灰が腱板の外に漏れ出すときに激痛になります。痛くて肩を全く動かせないこともあります。
治療としては、ステロイド剤の関節内注射と消炎鎮痛剤の内服が一般的で、翌日には疼痛(とうつう)が激減する方も多いです。また石灰を溶かす作用を持つ内服剤の併用も有効です。なかには慢性化する場合もあり、その場合は肩関節の拘縮を引き起こすことがあるので注意が必要です。ただ全ての方が激痛というわけではなく、中には軽度の痛みの方もおられるので、変だなと感じたら早めに整形外科を受診する方がいいでしょう。