前回は、体の柔軟性の重要さについてお話ししました。しかし、柔らか過ぎても問題があります。それは関節の「弛緩(しかん)性」が高過ぎて、本来動かない方向にまで動くことになるからです。
例えば、肘を伸ばしたときに真っすぐで止まらずに反対方向に動いたり(反張肘)、膝を押さえて足首を持ち上げると足首が持ち上がったり(反張膝)する場合です。弛緩性が高過ぎると関節を痛めやすくなるので、一概に柔らかければ柔らかいほどいいというわけではありません。フィギュアスケートの高橋大輔選手が痛めた「前十字靱帯(じんたい)」も、反張膝の人は痛めやすいといわれています。
柔軟性が高過ぎる場合は、周囲の筋力を鍛えることによって安定性を保つように指導します。また異常に硬い場合や柔らかい場合は、関節の変形や靱帯損傷なども考えられますので、一度専門医を受診するといいでしょう。