今回は膝の靭帯(じんたい)損傷の一つである、「前十字靭帯(ACL)損傷」についてお話しします。ACLは脛骨(けいこつ)が前方にずれないようにしたり、膝の回旋を制御する、膝のど真ん中にある靭帯で、断裂すると自然にくっつくことはごくまれです。
スポーツ時での損傷がほとんどで、膝の過伸展や内旋で損傷しやすいとされています。損傷時に半月板損傷や骨挫傷を伴うこともあり、損傷したままではスポーツ復帰は難しいのが現実です。
そのために手術が行われますが、膝の屈筋腱(けん)の1本を採取し、新しい靭帯として作る「靭帯再建術」が一般的です。ただ術後のリハビリがきついのと、競技復帰まで7~8カ月かかるため、アスリートレベルの方でないと手術適応にならない場合が多いです。ACLは切れていても日常生活にはほとんど不自由がありませんので、主治医とよく相談してみましょう。